第九巡回控訴裁判所がAI学習コードのCMI剥ぎ取り主張を退ける
10秒でわかる内容解説
米国第九巡回控訴裁判所は2026年9月、GitHubコードがLLM学習に使われた際、著作権管理情報(CMI)が剥ぎ取られたとして提訴された案件で、原告の主張を退けた。
新しい作品にCMIなしが違法剥ぎ取りを意味しない
第九巡回控訴裁判所は、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の解釈を巡る訴訟で、インターネットユーザーとプログラマーに大きな勝利をもたらした。
DMCA第1202条は、著作者名や著作権表示などの著作権管理情報(CMI)を、著作権作品から意図的に削除することを禁止している。OpenAIとMicrosoftは、LLMの学習データとしてGitHub上のコードを利用した。匿名のGitHubコントリビューターは、LLMから出力されたコードが自らのものと類似しているが、CMIが剥ぎ取られているとして提訴した。
裁判所は、著作権作品からCMIを削除することと、元々CMIを持たない新しい作品を作成することは根本的に異なると判断した。
この判決は、新しい作品に著作権情報がないこと自体が、誰かがそれを違法に削除したことを意味しないと示した。
Section 1202は、デジタル時代における伝統的な著作権のバックアップとして意図されたものであり、それ自体が違法でない利用を阻害する新たな広範な権利を生み出すものではない。
DMCA第1202条が創りうる新たな権利の範囲
原告の理論が認められれば、それ自体は合法的な活動に対して新たな責任源が作成されることになった。
例えば、古い作品に基づいてリミックス(既存の作品を改変・再構成して新しい作品を作ること)を作るアーティストや、教室のプレゼンテーション用に作品を適応させる教師、コードを理解するために逆エンジニアリングするエンジニア、そしてウェブをナビゲートするのを助ける検索エンジンなどが対象となる。
特にリスクは、独立したソフトウェア開発者やその他の小規模なクリエイターに降りかかる。
大企業は必要に応じて連邦裁判所で何年間も訴訟を行う余裕があるが、法定損害賠償金が莫大であれば、独立したプログラマーは根本的な利用が完全に合法であっても和解せざるを得なくなる可能性がある。
この判決は、著作権法がLLM開発の文脈を超えて、他の合法的な利用を阻害する新たな権利源を作らないようにした。
著作権法は依然として、プログラムマーの作品が違法にコピーされた場合に保護する。モデルを使用してコードを複製した場合は、まだ著作権侵害の主張を行える。
コミュニティが捉えるEFFの立場とプログラマーの反応
EFF(電子フロンティア財団)は、この判決を「プログラマーの勝利」として宣伝した。しかし、コミュニティの反応は割れている。
Hacker Newsでは、EFFを「業界の宣伝屋」と見なす声も上がっている。
あるプログラマーは、「EFFは私のコードを盗む支持をしている」と反発し、EFFを「欺瞞的な嘘つき」と呼んだ。
さらに、EFFが「著作権文字列の剥ぎ取りはOK」という立場に至った経緯について疑問を呈する声もあった。
裁判所の判決は狭い範囲のものだが、重要な規定を示した。
この判決は、新しい作品にCMIがないことが、それ自体で誰かがそれを違法に削除したことを意味しないという点を明確にした。
EFFは、著作権法が議会が承認した権利を適用することで答えを出すべきであり、表現や合法的な使用を害する可能性のある新しい権利を発明すべきではないと主張している。
契約上の請求と今後の著作権法の適用
原告側がAI企業に対して保有する契約上の請求(contract claims)の行方は、まだ確定していない。
この判決は、DMCA第1202条に基づく著作権管理情報の剥ぎ取り主張に限ったものであり、他の法的根拠に基づく訴訟は継続される可能性がある。
新しい技術は著作権について難しい問いを常に提起する。
裁判所は、議会が実際に承認した権利を適用してこれらの問いに答えるべきであり、 everyone の表現や合法的な利用を害する可能性のある新しい権利を発明しないことが重要だ。
この判決は、インターネットユーザーとプログラマーにとって大きな勝利となった。
2026年9月のこの判決をきっかけに、LLM開発における著作権の解釈がさらに整備されていくことが期待される。
用語の注釈
- CMI
- 著作権の所有者や利用条件などを示す情報で、デジタル作品に付与されるメタデータ。(参考:センチュリーメディカル株式会社|CMI)
- DMCA
- 1998年に米国で制定された連邦法で、デジタル環境における著作権保護と権利管理情報を強化する。(参考:The Digital Millennium Copyright Act | U.S. Copyright Office)
- LLM
- 数百億から数千億規模のパラメータを持ち、人間が普段使う言葉を理解して自然な文章で回答できる生成AIの基盤技術。(参考:【2026年最新】主要なLLMモデル8選一覧比較表。各モデルごと ...)
- EFF
- テクノロジーの自由とプライバシーを守る非営利団体。(参考:Electronic Frontier Foundation | Defending your rights in the ...)
- リミックス
- 既存の作品を改変・再構成して新しい作品を作ること。(参考:リミックス - Wikipedia)
出典
- Victory Appeals Court Rejects Expansive New Copyright Claim(Hacker News) · 議論